凝集力とは、水分子のように同じ種類の分子間の引力のことです。1つの水分子で部分的に負に帯電した酸素は、2つ目の水分子の部分的に正に帯電した水素と水素結合を介して結合します。各水分子は、他の水分子と4つの水素結合を形成することができます。
表面上では、複数の水分子が凝集して集まると、水滴を形成します。水は一般的に、表面全体へ広がることはありません。これは、表面や周囲の空気を構成している分子よりも、水分子が互いに引きつけられているからです。
表面張力は、凝集力から生じます。アメンボはこの現象を利用して水の上を歩く昆虫です。表面張力は、水と空気の境界面(水面)で発生します。この場合も、水分子は空気中の分子よりも互いの水分子に引き付けられます。そのため、表面の水分子は、横や下にいる隣接した水分子との結合を形成します。表面の水分子は、片側(空気に接する側)の水分子とは結合できないので、隣接した水分子とより強い結合を形成します。強く結合した水分子は表面積が圧縮され、球状の水滴を作ります。水の高い表面張力とアメンボの足の浮力によって、アメンボは水面にとどまることができるのです。
水銀も、容易く目視できる凝集性のある分子です。ガラス容器の中で水銀は広がったり、ガラスを濡らしたりはしません。これは、水銀分子間での凝集力が水銀とガラスの間の接着力よりも強いからです。水は凝集力が強いものの、シリカとの親和性もあります。そのため、水はガラス容器の底で平らに分散します。
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