ある表現型に複数の遺伝子が関与している場合、その形質は多遺伝子性であると考えられます。例えば、人間の身長は多遺伝子性形質です。これまでの研究で、身長に影響を与える遺伝子座は何百も発見されており、さらに多くの遺伝子があると考えられています。関与する遺伝子の数が多いことに加え、環境要因や栄養要因もあるため、身長はある集団の中で大きく変化します。身長の分布は釣鐘型の曲線を描き、最小または最大の身長の集団は比較的少なく、中間の身長範囲の集団が大半を占めます。体重や血圧、指紋のパターンなどの多遺伝子形質の多くも、釣鐘型の曲線を描くようになっています。
メンデルの代表的な遺伝研究は、単一の遺伝子から生じる形質に焦点を当てていましたが、ゲノムワイド関連解析などの実験により、多くのヒトの形質が複数の遺伝子産物の協力によって形成されることが明らかになりました。多くの遺伝子が協調して表現型に影響を与えることを、多遺伝子性形質といいます。
多遺伝子性形質の一例として、人間の身長が挙げられます。ヒトの身長の変動には数百の遺伝子座が関与しており、まだ特定されていない遺伝子はさらに多いと考えられています。これらの遺伝子の多くは、手足の長い骨の中にある成長板の軟骨に直接または間接的に影響を与えています。
人間の身長は、影響を与える遺伝子の数が多いこともあって、大きく変化します。また、妊娠中の母親の喫煙の有無、妊娠中の母親の食生活、子孫の食生活など、環境的・栄養的要因によっても影響を受けます。
女性の最低身長が約150 cm、最高身長が約180 cmの集団では、これらの値の間のすべての身長の女性が存在します。身長分布をプロットすると、釣鐘型の曲線になり、最低身長や最高身長に近づく女性は比較的少なく、平均的な165 cmに近い身長の女性が大半を占めます。体重や血圧などの多遺伝子性形質や、隆線の数などの指紋の形状も、対立遺伝子の組み合わせの数が多いため、釣鐘型の分布になります。
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