酸か塩基かは、溶液が水素イオンを供給するか受け取るかで決まります。酸性の溶液は陽子を供与し、一方塩基またはアルカリ性の溶液は陽子を受容できます。純水は、陽子を与える水素イオンと陽子を受け取る水酸化物イオンを同じ数持ち、中性溶液です。
pHは、水溶液の酸性、塩基性を示す指標であり、水素イオンの濃度によって決まります。1リットルの純水中には、1x10の-7乗モルの水素イオンが存在します。しかし、水溶液中の水素イオン濃度は広範囲に渡るため、モル数でpHを測定するのは煩雑です。そこで、水素イオンのモル数を常用対数の負で換算したpHスケールが開発されました。したがって純水のpHは7となり、中性溶液を示します。ほとんどの溶液のpHは0〜14ですが、カルボラン(pH -18)のように、これを超えるものもあります。1リットルのカルボランには、1x1018モルの水素イオンが含まれています。
カルボランのように、結合していない遊離水素イオンが蓄積すると、溶液は酸性になり、pH値は7以下になります。コーヒー、レモン果汁、胃酸(消化液)などは酸性溶液であり、pHはそれぞれ4.5、2.5、1.5程度です。
pHが7以上の溶液は、水素イオン濃度が低く、アルカリ性です。このような溶液では、水素イオンが水酸基などの他の成分と結合して、遊離の水素イオンの総数が減り、pH値が上昇します。アルカリ性の例として、塩水や石けん水があり、それぞれpHは約8、12を示します。
緩衝液は、水素イオンを吸収したり放出することで、pHの大きな変化を防ぎます。たいていの生体機能は、約pH7.35〜7.45の中性に近い状態で発揮されるので、緩衝液は重要です。例えば、血液は二酸化炭素が多すぎると酸性になってしまいます。重炭酸塩は緩衝剤として働き、血液を恒常的なpHに戻します。また、重炭酸塩は消火粥が胃から小腸に移動する際に緩衝剤としても使われます。重炭酸塩がなければ、消化された食物の酸性によって腸の粘膜が傷ついてしまうでしょう。
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