タンパク質は、アミノ酸がペプチド結合でつながった鎖です。タンパク質は合成時、その生物学的機能に重要な3次元構造に折り畳まれます。構成要素のアミノ酸間の相互作用によってタンパク質の折り畳みは導かれており、ゆえに、タンパク質の構造は主にそのアミノ酸配列に依存しています。
タンパク質は、化学反応の触媒、免疫防御、貯蔵、輸送、細胞間コミュニケーション、運動、構造支持など、幅広い生物学的機能を果たします。タンパク質の機能は大部分が、他の分子を錠と鍵のように認識して結合する能力に頼っています。したがって、各タンパク質特有の活性は、その独自の3次元構造によるのです。
タンパク質が機能するためには、正確に折り畳まれなければなりません。ほとんどのタンパク質は、いくつかの中間体を経て、最も安定した生物活性構造に折り畳まれます。タンパク質が誤って折り畳まれると、細胞の機能全体に有害な影響を及ぼします。人間の場合、いくつかの病気は、誤った折り畳みタンパク質や正しく折り畳まれないタンパク質の蓄積が原因です。これらには、嚢胞性線維症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、クロイツフェルト・ヤコブ病などが該当します。
タンパク質は、ポリペプチドと呼ばれる1本以上のアミノ酸の鎖から作られます。ポリペプチドは直鎖状に合成され、それらは急速に折り畳まれて3次元構造を形成します。ポリペプチドとタンパク質は時に同じ意味で使われますが、一般的には、生物学的機能を果たすことが可能な折り畳まれたポリペプチドをタンパク質と呼びます。タンパク質の構造は、通常、一次構造、二次構造、三次構造、四次構造の4段階で表されます。ほとんどのポリペプチドは、血液中の酸素運搬タンパク質、ヘモグロビンのように、全体的にコンパクトな球状の三次構造に折り畳まれます。また、ケラチンのように、髪の毛や爪に見られる長い繊維を形成するタンパク質もあります。
ポリペプチド鎖に含まれるアミノ酸配列は、タンパク質の構造を決定する主要な要素です。アミノ酸配列は二次構造の種類と位置を決定します。加えて、タンパク質の全体的な三次構造は、アミノ酸側鎖(アミノ酸を区別する独自の化学基)の化学結合によって主に安定化されます。これらアミノ酸の側鎖は、正や負の電荷を帯びているか、電荷は持たないものの極性があるか、無極性であるかのいずれかです。
アミノ酸は、その側鎖基に特有の物理的・化学的性質を持っています。例えば、極性がある帯電したアミノ酸は水と相互作用して水素結合を形成し、親水性と呼ばれます。一方で、非極性アミノ酸は水との相互作用を避け、疎水性と呼ばれます。そのため、細胞内でタンパク質が折り畳まれると、疎水性アミノ酸の側鎖は水性環境を避けて、タンパク質の中心部に埋まり、親水性アミノ酸側鎖はタンパク質の表面に露出します。
タンパク質の中心部に疎水性アミノ酸が密集していることにより、側鎖基間で弱いファンデルワールス相互作用が働きます。このファンデルワールス力の存在が、折り畳まれたタンパク質に安定性をもたらします。タンパク質の表面に露出している極性アミノ酸は、水分子や他の極性アミノ酸側鎖と自由に水素結合を形成することができます。また、正や負に帯電したアミノ酸はタンパク質の外側には存在し、近くにある反対電荷を持つ他のアミノ酸とイオン結合を形成します。
ジスルフィド結合は、アミノ酸のシステイン上の2つのスルフヒドリル(SH)基の間に形成されます。これは、折り畳みタンパク質の補強材のように働く、非常に強固な相互作用です。ジスルフィド結合の存在は、折り畳みタンパク質を最も好ましい3次元構造に固定します。タンパク質の適切な折り畳みは、pH、塩分濃度、温度などの他の細胞環境の要因にも左右されます。タンパク質環境における物理的・化学的条件の変化は、タンパク質をまとめている化学的相互作用に影響を与え、タンパク質の折り畳みミスや折り畳まれないタンパク質を生み、タンパク質の生物学的機能を失わせる可能性があります。この工程はタンパク質変性と呼ばれます。
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