ほとんどの原核生物のゲノムは、2 本鎖 DNA で構成されており、核様体と呼ばれる細胞質領域の 1 つの環状染色体にまとめられています。 染色体は効率的な保管のためにしっかりと巻かれています(スーパーコイル)。 原核生物には、プラスミドと呼ばれる他の環状 DNA も存在します。 これらのプラスミドは染色体よりも小さく、抗生物質耐性などの適応機能を与える遺伝子を持つことが多いです。
細菌のゲノムは真核生物のゲノムよりもはるかに小さいですが、サイズや遺伝子内容は大きく異なります。 知られている最小の細菌ゲノムの 1 つは、ヒトの尿路および生殖器の感染症を引き起こす性感染症の病原体であるMycoplasma genitaliumのものです。M. genitalium ゲノムは、 580,076 塩基対の長さで、559 ( 476 はコーディング、 83は ノンコーディング)の遺伝子で構成されます。 その対極に、土壌中に生息する細菌であるSorangium cellulosumの特定の株があります。 S. cellulosum ゲノムは、長さ 14,782,125 塩基対、 11,599 個の遺伝子をエンコードしており、細菌としては巨大なゲノムです。
抗生物質が発見される以前は、単純な細菌感染を止めることができないため、軽度の怪我が致命的になりえました。 1928 年にペニシリンが発見されたことで、薬物療法に革命がおこり平均寿命が延びるという、抗生物質の時代が幕を開けました。しかし、ヒトや農業動物に対する抗生物質の過剰な使用は、一部の細菌の抗生物質に対する耐性を高め、抗生物質の効果の低下や無効化を引き起しています。 抗生物質耐性遺伝子はプラスミド上に存在する可能性があり、多くの細菌は細菌の接合と呼ばれる過程を通じてプラスミドを遠縁の種とも交換することができるため問題となります。 そのため、抗生物質への耐性は細菌集団に急速に広がる可能性があり、新しい抗生物質の開発が急務となっています。
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