ウイルスは、その形や大きさが非常に多様だが、構造的にはいくつかの共通点があります。すべてのウイルスは、DNAまたはRNAベースのゲノムを含むコアを持っています。コアは、カプシドと呼ばれるタンパク質の保護コートで囲まれています。カプシドは、カプソメと呼ばれるサブユニットで構成されています。カプシドとゲノムを含むコアを合わせてヌクレオカプシドと呼びます。
ウイルスの分類には、カプシドのデザインなど多くの基準があります。ほとんどのウイルスは、正20面体またはらせん状のカプシドを持っていますが、中にはより複雑なカプシド構造を持つウイルスもあります。正20面体型は、20面体の準球状の構造です。風邪の原因ウイルスであるライノウイルスは正20面体です。螺旋状(糸状、棒状)のカプシドは、細くて直線的で、円柱に似ています。核酸のゲノムは、らせん状のカプシドの溝の中に収まっています。植物の病原体であるタバコモザイクウイルスは、らせん型ウイルスの典型的な例です。ウイルスの中には、カプシドの外側に脂質やタンパク質のエンベロープがあるものがあります。このウイルスのエンベロープは、ウイルスが生成するものではなく、宿主の細胞から獲得するものです。これらのエンベロープ分子は、ウイルスを保護し、宿主の細胞との相互作用を媒介します。
ウイルスのカプシドは、ウイルスのゲノムを保護するだけでなく、宿主細胞との相互作用にも重要な役割を果たしています。例えば、カプシドタンパク質は、宿主細胞の特定の細胞膜タンパク質を認識して結合することで感染を可能にします。また、カプシドタンパク質は、ウイルスゲノムの被覆を剥がして宿主内での複製を可能にするのに重要な役割を果たしています。
カプシドやエンベロープのタンパク質や脂質は感染を可能にしますが、これらの分子はウイルスに特有のものであり、宿主の免疫系がウイルスの存在を検出するために使用できます。このような免疫反応の誘発物質は、一般に微生物関連分子パターン(MAMPs)として知られています。植物では、MAMPが免疫反応のカスケードを誘発し、現在の感染を緩和するとともに、将来、同様の病原体に感染した場合に、より強固な免疫反応ができるように植物を準備します。MAMPsは、ヒトにおいても、炎症や抗菌タンパク質の産生などの自然免疫反応を引き起こします。ワクチンの中には、体がMAMPを認識する能力を利用して、特定のウイルス病原体に対する免疫を付与するものがあります。
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