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亜硝酸イオン(NO2)のルイス構造は、N-O結合とN=O結合の位置によって、実際には2つの異なる方法で描くことができます。  

Figure1

亜硝酸イオンに単結合と二重結合が実際にあるとすれば、2つの結合の長さは異なると考えられます。2つの原子の間の二重結合は、同じ2つの原子の間の単結合よりも短く(そして強く)なります。しかし、実験によると、NO2の両方のN-O結合は、同じ強さと長さを持ち、他のすべての特性において同一であることが示されています。NO2において、窒素がオクテットを持ち、両方の結合が等価であるような単一のルイス構造を書くことはできません。

その代わりに、共鳴という概念が使われています。ある分子やイオンに対して、同じ配列の原子を持つ2つ以上のルイス構造が書かれている場合、実際の電子の分布は、様々なルイス構造が示すものの平均になります。NO2の窒素-酸素結合のそれぞれの電子の実際の分布は、二重結合と単結合の平均です。  

個々のルイス構造を共鳴形式と呼びます。実際の分子の電子構造(共鳴形式の平均値)は、個々の共鳴形式の共鳴混成と呼ばれます。ルイス構造の間にある両頭矢印は、それらが共鳴形式であることを示します。

Figure2

炭酸イオン、 CO32−は、共鳴の2つ目の例を提供します。  

Figure3

  • 中心原子のオクテットを完成させるには、1つの酸素原子が炭素に二重結合していなければなりません。  
  • しかし、すべての酸素原子は等価であり、二重結合は3つの原子のうちどれか1つから形成される可能性があります。そのため、炭酸イオンには3つの共鳴形式が存在することになります。  
  • 同一の共鳴構造が3つ書けることから、炭酸イオンの実際の電子の配置は3つの構造の平均値であることがわかっています。  
  • ここでも実験により、3つのC-O結合がすべて同じであることがわかっています。

共鳴混成と呼ばれる分子は、どちらかの共鳴形式で記述された電子構造を持つことはないことを常に覚えておいてください。むしろ、実際の電子構造は、常にすべての共鳴形式によって示されるものの平均値です。  

共鳴理論の先駆者の一人であるジョージ・ウィーランドは、共鳴形式と共鳴ハイブリッドの関係を歴史的な例えで説明しています。中世の旅人が、初めてサイを見たとき、ドラゴンとユニコーンに共通する多くの性質を持つことから、サイをドラゴンとユニコーンの混成と表現しました。サイがある時はドラゴンでもなく、ある時はユニコーンでもないように、共鳴混成はある時はどちらの共鳴形態でもないのです。

サイのように、実験的にも存在が確認されている実在のものです。共鳴形態と共通する特徴を持っていますが、共鳴形態自体は便宜的な空想のイメージです(ユニコーンやドラゴンのように)。

本書は 、 Openstax 、 Chemistry 2e 、 Section 7.4 : Formal Charges and Resonance から引用したものです。

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