ネットワーク共有結合固体とは、共有結合した原子が3次元的なネットワークを形成している固体のことであり、ダイヤモンド、グラファイト、シリコンなどの非金属や、二酸化ケイ素(砂)や炭化ケイ素(カーボランダム、紙やすりの研磨剤)などの共有結合化合物の結晶構造に見られます。また多くの鉱物は共有結合のネットワークを持っています。
共有結合ネットワークの固体を壊したり溶かしたりするには、共有結合を壊さなければなりません。共有結合は比較的強いので、共有結合ネットワーク固体は、一般的に硬く、強く、融点が高いという特徴があります。例えば、ダイヤモンドは最も硬い物質の1つであり、3500 °C以上で融解します。
ダイヤモンドとグラファイト
炭素は必須元素であり、ダイヤモンドとグラファイトは、炭素の代表的な同素体です。同質体とは、同じ元素の異なる構造体のことです。ダイヤモンドは最も硬い物質の一つであり、黒鉛は鉛筆の芯として使われるほど柔らかいです。これらの性質の違いは、同素体の炭素原子の配置の違いに起因します。
ダイヤモンドは、炭素原子が全方向に強く結合しているため、非常に硬いです。グラファイトは、共有結合した結晶が非共有結合で何層にも重なった平面状のシートです。一般的な共有結合を持つ固体とは異なり、黒鉛は非常に柔らかく、電気伝導性があります。黒鉛(鉛筆の芯)は、炭素層の間の弱い引力のために紙の上で擦れて剥がれます。
グラフェン:未来の素材
最近発見された炭素の形態にグラフェンがあります。グラフェンは、2004年にテープを使って黒鉛の層を少しずつ剥がしていくことで初めて単離されました。グラフェンは、基本的にグラファイトの1枚のシート(厚さ1原子)です。グラフェンは、強くて軽いだけでなく、電気や熱の伝導性にも優れています。これらの特性は、コンピュータのチップや回路の大幅な改良、電池や太陽電池の性能向上、構造材の強度向上や軽量化など、さまざまな用途に非常に有用です。2010年のノーベル物理学賞は、グラフェンの先駆的研究を行ったアンドレ・ガイムとコンスタンチン・ノボセロフに贈られました。
上記の文章は以下から引用しました。Openstax, Chemistry 2e, Section: 10.5 The Solid State of Matter.
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