遺伝病の一部は、有糸分裂の際にDNAが圧縮されてできる染色体の構造と数を見ることで発見できます。染色体が形成されると、細胞遺伝学者は分裂を止めて染色を行います。染色すると、染色体の数、形、種類などの異なる特徴を示す明確な帯状の模様が得られます。このような個人の染色体の情報を核型と呼びます。
核型の分析を容易にするために、染色された染色体の画像を撮影し、個々の染色体を識別して画像から切り出します。染色された染色体は、2本1組で並べられ、大きさ順に並べられます。このレイアウトを「核型写真(karyogram)」と呼びます。ヒトの核型写真では、22本の常染色体には、大きいものから小さいものまで、1から22までのラベルが貼られています。核型写真では、遺伝性疾患の原因となる染色体の欠落や追加、あるいは全体的に余分なコピーを簡単に見つけることができます。
マルト・ゴーティエ(Marthe Gautier)、ジェローム・ルジューヌ(Jérôme Lejeune)、レイモン・テュルパン(Raymond Turpin)の3人は、1959年にダウン症候群の患者が21番染色体の3番目のコピーを持っていることを発見しました。そのため、ダウン症候群はトリソミー21とも呼ばれています。ダウン症候群の患者は、一般的に軽度から重度の知的障害と、成長の遅れなどの身体的症状をもちますが、その程度には大きな個人差があります。ダウン症候群は、減数分裂の際に、21番染色体が精子細胞や卵細胞への分離で失敗することで生じます。その結果、通常の23本の染色体ではなく、24本の染色体を持つ生殖細胞ができます。このような生殖細胞が受精の際にもう一方の親の細胞と融合すると、生まれた接合体の染色体は47本になります。ダウン症の中には、21番染色体が1本だけ余分に存在するケースもありますが、通常は他の染色体と融合します。
細胞遺伝学者は、分子生物学、化学、機器の進歩により、核型写真から単に染色体の数や構造だけでなく、より多くの情報を引き出すことができるようになりました。最初の細胞遺伝学的研究で使用された地衣類由来の染料は、ギムザのようなより安定した染料に取って代わられました。ギムザは、塩基組成やクロマチン構造に応じて、DNA鎖のある部分を他の部分よりも強く染色します。このようにして染色強度の違いにより模様を得る方法をG分染法と呼びます。この染色模様は再現性があり、同一種の個体であれば同一のパターンとなるため、異常の発見が容易です。分染パターンを作成するにはいくつかの方法があり、様々な染色体異常の診断を容易にしています。
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DNAと染色体の構造
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