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遺伝子の機能を知るためには、遺伝子を不活性化したり、ノックアウトしたりすることで、何が起こるかを観察できます。ノックアウトマウスは、がん、パーキンソン病、糖尿病などのヒトの病気のモデルとして特に有用です。

プロセス

遺伝子をランダムにノックアウトする方法と、特定の遺伝子をターゲットにする方法があります。特定の遺伝子をノックアウトするには、ターゲティング・ベクターと呼ばれる人工的に作られたDNAを使用して、正常な遺伝子を置き換え、それによって不活性化します。

ターゲティングベクターは、目的とする遺伝子の両脇の配列と同一もしくは相同の配列を持っており、減数分裂の際に類似した配列を持つDNA間で自然に起こる相同組換えによって、ターゲティングベクターが遺伝子を置き換えることができます。

ターゲティングベクターは、電気パルスを用いて細胞膜に一時的に孔を開けるエレクトロポレーション法などを用いて、培養中のマウス胚性幹細胞に導入されます。一般的には、ベクターが適切に遺伝子を置換した細胞を識別するために、相同領域の間にネオマイシン耐性(NeoR)の遺伝子などの正の選択マーカーを、相同領域の1つの後にウイルスのチミジンキナーゼ(TK)の遺伝子などの負の選択マーカーを含むように設計されています。

細胞をネオマイシンに曝すと、ベクターをDNAに組み込んだ細胞だけがNeoR遺伝子を持っているので生き残ります。また、ベクターが相同組換えによって目的の遺伝子に置き換わった細胞は、TK遺伝子を持たないので、ガンシクロビルという薬の存在下でも生き残ることができます。したがって、ガンシクロビルを投与することで、ゲノムにベクターがランダムに挿入された細胞は、TK遺伝子を持つことになるため、排除できるのです。

正しく遺伝子がノックアウトされた細胞は、マウスの胚に挿入され、メスの子宮に移植され、出産まで成長します。できあがったマウスは、胚から採取した正常なDNAを持つ細胞と、遺伝子を1本の染色体上にノックアウトした細胞が混在したキメラマウスとなります。これらのマウスを交配し、その生殖細胞に遺伝子を持つ子孫をさらに交配して、すべての細胞がノックアウトのホモ接合体であるマウスの系統を作ります。このノックアウトマウスを用いて、遺伝子の機能を研究できます。

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In VitroMutagenesis

章から 16:

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