ブンゼンバーナーは、ガスと空気を混合し燃焼させ、連続的に炎を作り出すことができる実験器具です。ガスと空気を混ぜる比率を調整することで、炎の強さ、温度、大きさをコントロールできます。実験試薬や器具を熱し、滅菌するためにブンゼンバーナーが利用されます。
全てのブンゼンバーナーの基本構造は同じです。空気とガスはバレルつまり筒の部分で混ざり合います。
バレルの下方にあるカラーを使って空気量と炎の温度を調整することができます。カラーを回すと、空気の通り道ができより多くの空気が流入します。反対に回すとその穴は塞がります。
ベンチュリ効果によって穴から空気が吸い込まれます。 カラーが開いているときはバーナー内部の空気圧が下がることにより、バレル内に空気が流入する仕組みです。
また、ニードルバルブがバレルの底部分についており本体にねじ込む構造になっています。ニードルバルブは半時計回りか時計回りに回転させることでガスの量を調節でき、炎の大きさをコントロールできます。
ブンゼンバーナーを移動させるときは、バレルが土台にねじ込まれた状態であり、冷えていることを確認してからにしましょう。
ブンゼンバーナーのガス供給口はガスの元栓とゴム製の吸入管を通してつながっています。通常スパークライターを使ってガスと空気に点火し燃焼させます。
ブンゼンバーナーの使用前には必ずカラーが閉まっていることを確認して下さい。
できるだけ高温のきれいな炎にするために、ゴム管がガスの元栓とガス供給口にきちんとつながっていることを確認します。
さらなる安全対策のため耐熱性のマットを敷きましょう。飛び散った火花をキャッチでき、実験台の損傷を防いでくれます。
ブンゼンバーナーは棚や備品から少なくとも30センチメートル離して設置し、髪の毛や服、ジュエリーは後ろで束ねておいて下さい。消化器やセーフティブランケットなどの安全設備も近くに準備しておきましょう。
ガスの元栓を全開にし、スパークライターを使って点火します。
カラーが閉まった状態では、明るくくすんだ勢いのない輝炎と呼ばれる炎になります。 この炎は低温で、バーナーがついている状態であることを示します。カラーが閉まっているため空気の流入が最小限に留まり高温にはならず、不完全燃焼を起こしている状態です。
今度はカラーを回してみましょう。カラーを開くと2種類の炎が現れます。青色の外炎は輝炎よりも高温で音を発しません。また、この炎は見えにくいため取り扱いには特に注意して下さい。
青色の内炎、特に先端が最も高温になる部分です。この炎はさらに奇麗で、音を立てて燃焼します。
カラーを調節し至適温度の炎にします。ニードルバルブを開くと炎が大きく、閉めると小さくなります。
使用後はガスの元栓を忘れずに閉めてください。
ここまでブンゼンバーナーの操作法を見てきました。ここからは様々な応用例を見ていきましょう。
場合によっては金属製の器具を使用前もしくは実験手順の途中で素早く滅菌する必要が生じます。例えば金属スパチュラや白金耳はバクテリアサンプルを扱うため頻繁に滅菌されます。オペ前にはハサミや鉗子をアルコールに浸してから炎にあて、速やかに滅菌します。
血清ピペットのようなガラス製器具も、使用前に火炎滅菌が必要になります。
またブンゼンバーナーの炎を使って、実験用容器の口周辺を無菌状態に保つことができます。容器の口に短時間炎をあて熱をかけることで、空気の流れが生じます。その対流にのってどんな粒子も上昇し、容器から遠ざかるため、空気中浮遊物のコンタミネーションを防ぐことができます。さらに、ブンゼンバーナーの対流により空気中の粒子も上昇するため、作業領域周辺を無菌状態に保つこともできます。また、封入前の顕微鏡用スライドガラスをブンゼンバーナーの炎に軽くあてることで、ほこりなどを取り除くことができます。
ガラスや金属器具を加工するためにもブンゼンバーナーが使用されます。例えば、このガラス棒を慎重に火にかけ、熱いうちに曲げるとバクテリア培養用スプレッダーが出来上がります。
さらに、ブンゼンバーナーの炎を利用してピペットを引っ張ったりさらには曲げたりできるため、ガラス毛細管から解剖用ガラス針を作製することや、ガラス製ピペットの先端を塞いでワイヤーピックを作製することができます。
ここまでJoVEブンゼンバーナー編をご覧いただきました。このビデオでは、ブンゼンバーナーの概要と使用方法、炎の調整方法、安全上の注意点、さらにそのアプリケーションを紹介しました。ご覧いただきありがとうございました。研究室の火災を防ぐことができるのはあなたですからね。