電子軌道は、電子が存在すると考えられる原子核の外側の領域です。電子軌道は、異なるエネルギー準位、形状、そして 3 次元方向によって特徴付けられます。
電子の位置は、通常、殻または主エネルギー準位、そして各殻内の副電子殻、最後に副電子殻内に存在する個々の軌道によって記述されます。最初の殻は原子核に最も近く、s 軌道と呼ばれる単一の球軌道を持つ副電子殻が 1 つだけあり、 2 つの電子を保持できます。次の殻には合計 8 つの電子が入ります。2 つは球状の s 軌道にあり、 3 つのダンベル型の p 軌道にそれぞれ2つずつ入ります。 エネルギー準位が高いほど、最も外側の軌道( d および f 副電子殻にある軌道)は複雑な形状をとります。5 つの d 軌道には合計 10 個の電子が入り、 7 つの f 軌道には合計14 個の電子が入ります。
軌道図は、原子の各電子の位置と相対エネルギー準位を視覚化するのに使用できます。各殻内では、電子のエネルギーが上昇します。s 軌道は最も少ないエネルギー量を持ちます。p 軌道の電子は、幾分高いエネルギーを持ち、 d 軌道と f 軌道がある場合、それらが次に続くのです。
異なる電子軌道にある電子のエネルギー準位は異なることを見てきました。電子にエネルギーが存在し、さらに電子のエネルギー量が異なることを知るにはどうすればよいでしょうか。1913 年にニールスボーアは、電子1個をもつ水素原子や他のイオンの電子が電子軌道を変えた時、どの程度のエネルギーが得られ、失われたか実験的に測定することができました。この実験結果と先のアーネスト・ラザフォードの研究から得られた正に荷電した原子核の知識を組み合わせることで、ボーアは電子軌道の最初の模型を提唱しました。
電子がエネルギーを得ると、電子は励起状態となり、より高い軌道へ遷移します。エネルギーは熱や光の形で電子へ加えられ、電子がそのエネルギーを急速に失うと、高い軌道から落下して光子と呼ばれる光の粒子を放出します。放出される光子の色は、特定のエネルギー量に対応しているため、分光器で定量できます。
ボーアは、水素を加熱することにより、主要なエネルギー準位(殻)に含まれるエネルギーを測定することができました。加えた熱エネルギーにより、電子は最初のエネルギー準位からより高いエネルギー準位に遷移しました。それからボーアは、原子が再び冷やされた時に放出される光の波長を測定しました。
ボーアの電子軌道のモデルでは、決まった円形路で電子が原子核の周りを旋回していると仮定しました。電子一個をもつ水素や水素のようなイオンに対する彼の実験は正しかったものの、ボーアは他の元素の電子配置は予測できませんでした。原子核内部粒子の物理学に影響を与える要因を追加する必要があったのです。
1926 年、 エルヴィン・シュレーディンガーはボーアのエネルギー準位モデルを拡張し、今日も受け入れられる原子軌道モデルを提唱しました。シュレーディンガーは、 1920 年代初頭に科学者によって見つかった電子の物理的挙動に関する、他の多くの発見を考慮しました。彼の量子力学モデルは、複数の電子を持つ元素の電子の配置を正確に予測します。シュレーディンガーのモデルにおける根本的な変化の 1 つは、原子核の正電荷の影響を受ける波動状に電子が動いていると仮定していることです。このため、今日我々が話している軌道は、ボーアが提案したような決まった円形路というよりも、電子が最も見つかる可能性の有る雲状の領域になります。もう 1 つの重要な特徴は、ボーアのエネルギー準位(殻)をより小さなカテゴリ(副電子殻と電子軌道)に分けていることです。
章から 2:
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