15.7 : Complementary DNA
概要
メッセンジャーRNA(mRNA)に転写された遺伝子だけが活性化、すなわち発現します。したがって、科学者は細胞からmRNAを抽出し、さまざまな細胞や組織での遺伝子発現を調べることができます。科学者は、mRNAを逆転写して相補的なDNA(cDNA)に変換します。mRNAにはイントロン(ノンコーディング領域)やその他の制御配列が含まれていないため、cDNAはゲノムDNAとは異なり、遺伝子がコードするペプチドのアミノ酸配列を直接決定できます。
cDNAの合成
cDNAはいくつかの方法で生成できますが、一般的な方法は、まず細胞からトータルRNAを抽出し、トランスファーRNA(tRNA)とリボソーム(rRNA)という優勢なタイプのmRNAを分離することです。成熟した真核生物のmRNAは、他の種類のRNAにはないポリAテール(アデニンヌクレオチドの列)が3’末端に付加されています。そこで、チミンヌクレオチド(オリゴdT)をカラムや磁気ビーズなどの基材に付着させることで、mRNAのポリAテールと特異的に塩基対合できます。ポリA尾部を持つmRNAは捕捉されるが、他の種類のRNAは洗い流されてしまっています。次に、レトロウイルス由来のDNAポリメラーゼである逆転写酵素を用いて、mRNAからcDNAを生成します。多くのDNAポリメラーゼと同様に、逆転写酵素は鎖の3’末端にしかヌクレオチドを加えることができないため、ポリTプライマーを加えてポリAテールに結合させ、cDNA合成の起点とします。cDNA鎖の末端はヘアピンループになっています。その後、RNAはアルカリ処理やRNase酵素によって分解され、一本鎖のcDNAがそのまま残ります。
続いて、cDNAに相補的な2本目のDNAがDNAポリメラーゼによって合成される—多くの場合、1本目のcDNAのヘアピンループやmRNAの切れ端をプライマーとして使用します。
得られた二本鎖のcDNAは、細菌やウイルスのベクターに挿入し、標準的な分子生物学的手法でクローニングできます。
できあがった二本鎖cDNAは、細菌やウイルスのベクターに挿入し、標準的な分子生物学的手法でクローニングできます。
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15.7 : Complementary DNA
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