本研究では、iPS細胞の培養を自動化することに着目しています。より小型で安価な装置を活用することで、手作業による実験や人手によるばらつきを減らし、再現性を高め、iPS細胞に馴染みのない研究者にも機会を提供することを目標としています。自動培養機は数種類登場していますが、そのほとんどはまだ大型でコストがかかり、部分的な作業しかできません。
作業壷の構造がシンプルになったことで、機器のサイズとコストが削減されました。また、細胞のメンテナンスから分化誘導までを、事前の材料調製とソフトウェア上でのタスク設定のみで自動で行うことができます。機械による反復は、人間が行う反復に比べて非常に正確です。
このような機械を使用することで、リピート操作性が向上するだけでなく、人手も削減されます。さらに、各プロトコールのパラメータを共有すれば、iPS細胞に不慣れな研究者でも、経験豊富な研究者と同様の結果が得られ、iPS細胞を用いた研究に容易に参入することが可能になります。実験結果の学習から、次の作業スケジュールや設定日、作業内容の選択を自動化するAI画像判定システムの導入の可能性を模索しています。
また、研究者が自分の好みに合わせて作業プロトコルを調整し、オンラインで共有できるようにすることで、世界中の研究者間の再現性が高まるだけでなく、グローバルな研究協力が促進されることを期待しています。